自社開催セミナー成功のためのノウハウ【前編】

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~セミナー開催の目的とメリットを理解する~

BtoB(対法人営業)企業にとって、営業・マーケティング施策の一般的な機会となっている【自社開催セミナー】。しかし、今やただセミナーを開催すれば商談が増え、成果が出る時代ではありません。今回は、自社開催セミナーを成功させるために必要な要素を再確認するため、自社開催セミナーの目的やメリットについて、今一度考えてみましょう。


多くのBtoB企業が、今回のテーマである自社開催セミナーのほか、メールマガジンや広告出稿(WEB・紙媒体)、TwitterやFacebookといったソーシャルメディア、展示会への出展、テレマーケティングなど、有効な成果が期待されるさまざまな営業・マーケティング施策を採用しています。

このようにさまざまなメディアを併用する背景には、多様化する顧客ターゲットや購買行動があります。その中でも、自社の製品・サービスに関する情報や価値を直接ターゲットに訴求できる場として、自社開催セミナーは年々増え続けてきました。

自社開催セミナーの実態

しかし、自社でセミナーを開催することが日常化した現在、実態としては必ずしも成果が出ているとは言えないようです。開催回数は着実に増えているのに、集客数や成約率が伸び悩んでいる企業が少なくありません。こうした課題に共通しているのは、「開催することが目的になってしまっている」「とにかく集客すれば大丈夫と思っている」といった、感覚のズレです。
企業やチームでベクトルを合わせるためには、「なぜ、自分たちはセミナーを開催するのか?」という原点に立ち返り、自社セミナー開催の目的やメリットを再確認する必要があります。

なぜ、自社でセミナーを開催するのか?

◎セミナーの自社開催が、BtoBビジネスに適したアプローチ方法だから
対法人営業は商談プロセスが複雑で、成約に至るまでに時間がかかるケースが少なくありません。そこで、着実に商談を進め、社内稟議など具体的な段階に進みやすくなるよう、日常の営業活動やWebでは把握できない情報収集・提供の場として、セミナーや相談会などの場が設けられています。

またBtoBの取引では、「この企業を信頼できるのか」「この営業担当に任せられるのか」が重要な判断基準となります。セミナーという形で企業のことを知ってもらい、営業担当の顔を見せることは、顧客にとって直接企業を知ることができる大切な機会となります。

◎「情報は収集しているが、まだコンタクトをとる段階ではない」という、潜在的見込み客にコンタクトできるから

企業担当者は日頃から、Web上でさまざまな情報を収集しています。とは言え、そこから問い合わせ、商談と具体的行動へ進む件数は、ほんの一握りに過ぎません。
しかしセミナーを自社開催することで、「Web上の情報だけでなく、もう少し詳細な点について知りたい。だが、営業担当者から直接話を聞くほどの段階ではない」というお客さまとも、検討の初期段階に接点を作ることができます。このゆるやかな接点を作ることが潜在的見込み顧客を顕在的見込み顧客へ引き上げるための第一のきっかけとなります。

自社開催セミナーの目的は?

①見込み客の獲得
一番の目的は「新たな見込み客の獲得」です。先述したとおり、情報収集をしている検討初期段階の顧客といかに接点を持つか。この段階では、なるべく多くの顧客との接点を持つことも重要な目的となります。

②既存見込み客の育成
既になんらかの接点があり、初歩的な商材知識をすでに持っている見込み客向けのセミナーでは、自社の製品やサービスへの理解を深めてもらうことで、BtoBの取引で重要視される「信頼関係」を築いていきます。丁寧に段階を踏むことで、より具体的な商談へと進みやすくなります。

③見込み客のフィルタリング
直接対面してコミュニケーションを取ることができるため、ヒアリングできた予算・決裁権者・ニーズ・タイミングなどの詳細な情報を、セミナー後の商談プロセスへ活かすことができます。

自社開催セミナーのメリットは?

・直接会え、自由度の高いコミュニケーションをとれる。

Webサイトや資料より多くの情報を伝えることができ、その場で質問や懸案事項に答えられる点は、直接対面ならではのメリットです。また、目的に沿ったセミナーを企画し、実現することができます。

・テーマや内容に関心が高い人が集まる

あらかじめ特定のテーマや専門分野に関心のある方が集まるので、確度の高い顧客に対し、より深い情報共有やマーケティングが可能になります。

・相手の意思による参加のため、積極的な営業を嫌がる相手とも接点が持てる。

顧客自身が興味のある分野を選別し自身の意思で参加するため、普段は営業を嫌がる担当者とも接点を持つチャンスです。わざわざ時間を割いて参加するのは参加者の関心や意欲の表れですが、関心や意欲の高さが、すぐに製品やサービスの購入検討につながるとは限らないので、性急に商談を進めることのないよう注意してください

・自社や講師への認知度が向上し、ブランディングにつながる。

多くの人々の認知や記憶に残るためには、時間が必要です。訴求ポイントを端的に伝えつつ丁寧なフォローを心がけ、認知の高まりを信頼へとつなげていきましょう。

自社開催セミナーの活用

自社開催セミナーは、顧客ターゲットの段階に合わせた開催が可能です。それぞれのターゲットへの訴求ポイントを磨き上げ、本番に臨みましょう。

・新規開拓のため

製品やサービスのPRをするだけでは、それらにニーズを感じない新たな参加者を集めるのは困難です。製品やサービスによってその解消を期待できる、業界にありがちな業務課題に関連した、講演の開催や情報提供をメインに据えるなど、幅広い参加者の興味を引くような内容を企画します。

・導入検討中の方へのセミナー

すでに営業訪問などによって製品やサービスをご紹介した方や検討中の方へ、デモ機を用いるなどより具体的な情報を開示することで、理解度を高めてもらうために開催します。また、営業訪問などで以前ご紹介したままになっている方へ再度接点を持つためにも活用可能です。

・既存顧客へのフォローセミナー

現在取引がある顧客とのさらなるリレーション強化への一環として案内します。活用事例の共有のほか、ユーザー同士の情報交換の場としての活用されています。

・代理店やパートナー向けのセミナー

代理店やビジネスパートナー向けに、新機能の紹介や販売戦略の共有など、販売サポートや関係強化を実践します。時には、戦略発表会や表彰、パートナー企業同士の交流会をおこなう場合もあります。

セミナー企画・運営の再考と改善

自社でセミナーを開催しても、なかなか商談につながらない。その場合は、企画そのものを見直し、改善する必要があります。企画立案から事前準備、当日の運営まで含めると、かかった時間やマンパワー、必要経費のコストは計り知れません。受注につながる商談を創出できなければコストは回収できず、継続的運営は厳しくなります。そこで、自社開催セミナーから商談につながらない場合は、以下のような改善を試みます。

◆セミナーの内容と参加者のニーズがマッチしているか見直す

⇒ 参加者の反応や参加者アンケートを詳細に分析する。

⇒ セミナーの内容がターゲットニーズにマッチしていない場合は、紹介する製品やサービス、呼びかけるターゲット層、セミナープログラム、講師やスピーカー、会場(場所、広さ、設備)、開催時間帯など、多面的な見地から見直して再考し、企画そのものを組み立て直す。

 

◆商談につながる見込み客層を、うまく集客できているか見直す

⇒ 参加者の顔ぶれ(業種業態・参加者の役職など)を詳細に分析する。

⇒ 集客行動の質と量を確認し、実際の集客につながっているか追跡する。

⇒ 新たなリストアップ、紹介の働きかけ、広報告知活動について再考する。

 

◆参加者に対するフォロー内容を見直す

⇒ 迅速なフォローと的確な提案ができているか確認する。

⇒ クロージングにつながる働きかけができているか確認する。

⇒ 明らかになった課題(マンパワー、ヒアリングポイント、成約への障壁など)に対して、的確な対処をとる。

大切なことは、

1.「もっとも伝えたい情報が、もっとも的確に伝わるメッセージ」になっているか。

2.集客を含めた事前準備、当日の運営、開催後のフォローに関して、十分なマンパワーとフローが確立しているか。

3.そもそも「もっとも伝えたい内容」は、市場ニーズにマッチしているか伝える場として、自社開催セミナーは適切なメディアか。

という根本に立ち返ってみます。方向性にズレを生じさせることなく、顧客との間にしっかりとしたパートナーシップを生み出すために、課題に真摯に向き合うことで、自社開催セミナーの新たな価値を構築しましょう。


後編では、実際にどのような点を留意しながらセミナーを開催すれば良いか、さまざまなノウハウについてご紹介します。

自社開催セミナー成功のためのノウハウ【後編】はコチラ!→