成約率を伸ばす営業戦略とは?知っておきたいフレームワークも解説
企業が安定して業績を伸ばすためには戦略が欠かせません。事業全体の戦略はもちろん、成約率を上げるには営業戦略の構築と実践が不可欠です。営業戦略の立て方やフレームワーク、自社の営業力を強化するために戦略をうまく運用するポイントを解説します。
営業戦略はなぜ重要なのか?
営業戦略は社内の営業部門全体の行動指針となるもので、成約に結びつく効果的な営業活動をするために欠かせません。戦略がなければ担当者が一貫した行動を取れなくなる他、営業活動を取り巻く価値観や環境の変化も戦略の重要性を高めています。
従来の営業手法が通用しづらくなっている
少しずつ景気は回復している傾向にあるものの、まだ企業の業績アップに追い風とは言い切れないのが日本の経済状況です。景気が大きく成長していた時代に比べると、いまだ多くの業界で営業のハードルが高い状況にあるといえるでしょう。
また、近年は顧客が自らのニーズに沿った商品・サービスをインターネットで調べられる環境が整っており、中途半端な営業では購買につなげにくくなっています。商品説明から始めるという定番の営業トークが、インターネットの普及によって通用しなくなったのです。
営業活動で顧客の興味を引くには、より深いニーズを満たすような提案が不可欠です。ただ、営業担当個人のスキルによってやり方が大きく変わると、売上を安定させにくいでしょう。企業やチームとしての戦略を定めて、効果的なアプローチを図る必要があります。
顧客との接触機会が減っている
伸び悩む経済状況に加え、さらに2020年からまん延している新型コロナウイルスの影響によって、対面での営業が難しくなっています。顧客との接触機会が減っており、多くの業界でオンライン営業が主流になりつつある状況です。
オンラインでは、顧客と面と向かって営業をするのに比べてアプローチできる時間が限られてしまいます。短時間で顧客からの信頼を得て商談・成約につなげる必要があるため、対面営業が主だった頃に比べて、より戦略的な営業活動が求められるでしょう。
対面での営業を前提に戦略を構築していた企業は、新たにオンライン営業のための戦略を考える必要があるでしょう。
営業戦略の立て方
企業によって営業戦略の立て方は変わってくるものの、基本的な流れは共通しています。紹介する大まかな流れに沿って、戦略を立てていきましょう。それぞれの段階におけるポイントも解説します。
1.自社の現状と市場を把握する
まずは自社の置かれた環境を把握するため、市場の状況や競合の動向などを徹底調査します。製品やサービスを購入する可能性のある潜在顧客の動きだけでなく、競合他社がどのような戦略で顧客にアプローチしており、どの程度の成果を上げているかまで調査が必要です。
自社の独自調査に加えて、必要に応じて外部の市場レポートや調査会社の報告書なども活用するとよいでしょう。さまざまな角度から調査して、できるだけ詳細に市場の状況を把握することが重要です。市場環境によって取るべき戦略は大きく変わってきます。
2.問題や課題を可視化する
現状把握の次に行うのは、市場調査の結果を多角的に分析して営業部門の抱える問題や課題を数値として捉えることです。顧客の視点から自社に求められる課題も抽出しましょう。
自社が乗り越えるべき課題を定量的・定性的に明らかにすることで、達成に向けた戦略を構築しやすくなります。
数値で状況を把握しておけば、打ち出した戦略の効果を検証しやすいだけでなく、適宜修正や改善も可能です。顧客の反応を注意しながら、自社に最適な戦略に変えていけます。
3.達成すべき目標を設定する
市場分析で明らかになった営業上の問題や課題を解消するため、具体的に何を達成すべきかを洗い出して目標へと落とし込みます。課題の可視化と同じく、目標を達成する期間や達成すべき基準を数値で決めるのがポイントです。
数値化すれば達成度合いが明らかになるだけでなく、状況の変化に合わせて営業施策を変更するのにも役立ちます。目標の達成に注力するのは前提として、適宜進捗(しんちょく)を確認し、場合によっては軌道修正することは戦略の効果を上げるために重要です。
常に変化する市場に合わせて、臨機応変にアプローチを変える柔軟さも求められます。
4.自社の強みを生かせる戦略を立てる
戦略立案の最終プロセスは、設定した目標を達成するために何をすればよいのか具体的に決めることです。自社の強み(コア・コンピタンス)を生かせる戦略となるように工夫しましょう。
コア・コンピタンスとは、競合他社にはまねできない自社の核となる強みを指します。市場競争で勝ち残るための鍵となる能力といってよいでしょう。
自社のコア・コンピタンスは何かを見極めるには、次の視点を全てクリアしている強み(技術やスキル、製品・サービスの特性など)を探すのが基本です。
- 模倣可能性:他社に模倣される可能性はないか?
- 代替可能性:別のものに置き換えられる可能性はないか?
- 移動可能性:多方面に応用や展開が利くものか?
- 希少性:珍しい製品や技術で、顧客が興味を示すようなものか?
- 耐久性:短期間で強みがなくならないか?
これらの視点で自社の強みをチェックすることで、コア・コンピタンスになり得る強みを絞り込めます。コア・コンピタンスを生かした戦略を立てられれば、顧客に訴求しやすくなり、営業担当者の商談もスムーズに進むでしょう。
戦略構築に役立つフレームワーク
戦略の立案にはフレームワークの活用が有効です。営業戦略の構築に使えるフレームワークの知識を備えておきましょう。代表的な『3C分析』『SWOT分析』『4P分析』と、役立つ考え方について解説します。
大まかな状況把握に「3C分析」
3C分析は『Customer(市場・顧客)』『Company(企業)』『Competitor(競合)』という三つの視点から、自社の状況を分析するフレームワークです。
汎用的に利用できるフレームワークの中でも特に歴史があり、マーケティングを学んだ経験のある人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。
業界・業種を問わず広く活用できる3C分析は、市場環境を把握して自社の強みと弱みを大まかにつかむのに役立ちます。より具体的に自社の状況を分析するには、他のフレームワークの方がおすすめです。
自社で対応可能な範囲が分かる「SWOT分析」
SWOT分析は、自社の強みと弱みに『プラスになる機会』『脅威となる要因』を加えた4方向から自社の置かれた状況を分析するフレームワークです。
営業戦略はもちろんマーケティング戦略や企業全体の事業戦略に至るまで、さまざまなシーンで有益な知見を得られます。自社にとっての脅威が何なのかも分かるため、どこまでリスクを取って対応できるかという判断に有効です。
コア・コンピタンスを生かして戦略を構築する際、自社の強みがどれだけ市場で通用するかを客観的に判断するのにも、SWOT分析が役立ちます。
他社との比較で強みを把握「4P分析」
4P分析は、製品やサービスの顧客ニーズ・価格・流通経路・プロモーション方法という四つの視点で自社と他社とを比較し、強みや弱みを明らかにするのに役立ちます。3C分析と同様、長い歴史を持つ代表的なフレームワークです。
各視点から市場の状況を俯瞰した上で、自社が競合他社に対して優位に立っている点を生かす戦略を構築すれば、よりスムーズな営業活動が可能になるでしょう。顧客視点での営業戦略の構築に役立ちます。
「パレートの法則」も活用しよう
『パレートの法則』はフレームワークというよりも、統計によって導き出された法則(経験則)のようなものです。別名『80:20の法則』と呼ばれており、ビジネス領域では主に『売上の80%は20%の顧客からもたらされる』という法則を指します。
パレートの法則を生かして、80%の売上をもたらす20%の顧客に対して経営資源を集中的に投下すれば、成約率を大幅に向上させられるでしょう。
さらに、多くの成約を生み出している少数の営業活動を抽出し、そこに注力することで、より効率的な営業活動が実現できます。幅広いビジネスシーンに応用できる法則といえるでしょう。
営業戦略をうまく運用するコツ
企業の状況によって、営業戦略を運用する方法は変わってくるでしょう。ただ、基本となるポイントは共通しています。営業戦略を基に成約率を向上させるには、KPIの設定と検証・改善のプロセスが欠かせません。
KPIを設定する
営業戦略の実行にはKPIの設定が必要です。KPI(Key Performance Indicator)は日本語で『重要業績評価指標』と訳され、設定した目標の達成に必要な活動が計画通り進んでいるかをチェックするための指標を意味します。
KPIを設定することで、構築した戦略の実行度合いをチェックでき、進行上の問題・課題を発見しやすくなります。
営業チームごとに達成すべき目標は変わってくるはずなので、個別にKPIを設定するのが望ましいでしょう。
KPIは、達成を繰り返すことで最終的な戦略目標を達成できるように設計します。戦略に基づいた施策(営業戦術)の効果を検証するためにも、達成度合いを客観的に評価できるKPIの設定が有効です。
施策の検証と改善を繰り返す
営業戦略に基づいた施策の検証と評価・改善を繰り返すことで、状況に応じた営業施策を実行できるようになります。頻繁にPDCAを繰り返すようにすれば、市場環境が変化した際にも柔軟に対応でき、組織全体の営業成績を維持・向上できるでしょう。
また、定期的に戦略全体の見直しも行う必要があります。初めから完璧な戦略・戦術を策定するのはまず不可能といってよいでしょう。検証と客観的な評価を基にして、スピーディーに施策を改善していく取り組みが成功の鍵です。
営業力を強化するためのポイント
企業が営業力を強化して効果的な戦略を構築・実行するには工夫が必要です。組織体制を見直し、必要に応じてツールの導入や外部サービスの利用を検討してみましょう。
ITツールを活用する
ITツールや管理システムなどを積極的に導入し、営業プロセスの効率化を図りましょう。必要な情報を必要なタイミングで営業担当者が利用できれば営業戦略を実行しやすくなり、成約率の向上を見込めます。
ツールを導入すれば顧客情報を一元的に管理できるため、営業部門と他部門との情報共有が円滑になるというメリットもあります。
営業力を強化できる代表的なツールとして挙げられるのは、顧客情報の管理に役立つSFA(Sales Force Automation)や、顧客と良好な関係を構築するためのCRM(Customer Relationship Management)などです。
いずれも多くの企業で導入されているもので、営業やマーケティング部門にとって不可欠なツールとなりつつあります。
インサイドセールスを導入する
企業の営業力の強化には、インサイドセールスの導入も有効です。インサイドセールスとは『内部営業』とも呼ばれており、社内で営業をするスタイルを指します。
主に自社の製品・サービスに問い合わせをしてきたリード(見込み顧客)に対して営業をするもので、手法やノウハウは多様です。
近年は多くの企業がインサイドセールスを導入し、高い成果を上げています。もし社内にインサイドセールスに割けるリソースやノウハウがないならば、アソウのインサイドセールスサービスをご活用ください。
リードの発掘から商談まで一貫したサポートにより、営業担当者がスムーズにクロージングできる体制の構築を助けます。新規開拓が思うように進まない企業にもおすすめです。
自社の環境に合った営業戦略を策定しよう
営業戦略は営業チームに課せられた課題や問題を解消し、組織の目標を達成するために立てられる戦略です。
従来の営業手法が通じなくなり対面営業の機会も減っている昨今、多くの企業に新たな営業戦略が求められています。既存のフレームワークをうまく生かしつつ、自社の強みを発揮できる戦略を構築しましょう。
打ち立てた戦略をスムーズに実行するには、KPIを設定し、施策の効果測定と評価・改善を繰り返すことも重要です。どのような戦略でも自社に最適なものにするには時間がかかります。PDCAを回しながら、市場の変化にも柔軟に対応できる体制にしておきましょう。
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