〈新入社員必見!〉第一印象で差をつける【後編】
~「言葉」以外の、
コミュニケーションとは~
前編で紹介した「身だしなみ」は、社会人として対等なテーブルにつくためのマナーとお伝えしました。
今回は、「身だしなみ」以外に第一印象で差をつける方法をご紹介します。「言葉」以外のコミュニケーションについて考えてみましょう。
第一印象を良くする
5つのポイント
1. 挨拶
はっきりと聴き取りやすい口調で、元気の良い、明るい挨拶をする。
2. 態度としぐさ
若手世代/丁寧できびきびとしていること。
中堅世代/丁寧で落ち着いた所作。
世代共通/面談相手だけではなく、周囲の人の言葉にも耳を傾ける。
3. 表情
笑顔で柔和、落ち着いた表情で話す。
4. 身だしなみ
清潔で不快感を与えない「身だしなみ」であること。
5. 言葉づかい
状況にあった正しい言葉づかいができること。
今回取り上げるのは、②の「態度としぐさ」、そして③の「表情」を含めた、「言葉」以外のコミュニケーションです。
仕事ができる営業マンと聞けば、「トークスキルをもっている」「目標達成意欲が強い」「スケジュール管理が出来ている」というイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。
しかし、こうしたイメージ以外にも、人間の心理を十分に知った上で、視覚や聴覚など五感に伝わる好印象を発信し、信頼を勝ち得ている営業マンも少なくありません。
視覚情報が優先される
『メラビアンの法則』とは
膝を上下させ貧乏ゆすりをしながら、眉間にしわを寄せ、口をへの字に曲げた相手から、苛立たしそうに「私は今、とても楽しい」「嬉しくて仕方がない」と言われても、言葉通りには受け取れません。
何か魂胆があるのでは?と疑いたくなるほどです。
このように、「言葉」「言い方」「態度」の喜怒哀楽が矛盾している相手に対面したとき、人は「言葉」「言い方」「態度」のどれを優先するかについて検証した人がいました。
それが、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンです。1971年に彼が提唱したこの概念は、『メラビアンの法則』と呼ばれています。
『メラビアンの法則』は、話し手が聞き手に与える影響を検証に基づいて数値化した概念です。
話し手が聞き手に与える影響は、「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つで構成され、それぞれの情報の影響力は以下の割合であることがわかりました。
言語情報(Verbal)…7%
聴覚情報(Vocal)…38%
視覚情報(Visual)…55%この検証結果をもとに、メラビアンは「人の第一印象は、初めて会った時の数秒間で決まり、その情報のほとんどを視覚情報から得ている」と定義付けました。
決して「言葉より見た目が大事」と言っているのではありません。言葉や言い方はもちろん大切。
あくまでも情報取得の割合が「視覚⇒聴覚⇒言語」の順であるということです。
【 言語情報 】
言葉そのものの意味、話の内容。「言語情報」を使ったコミュニケーションを「言語コミュニケーション」「バーバルコミュニケーション」と呼びます。
【 聴覚情報 】
声の質(トーン)、話す速さ(テンポ)、声の大きさ、口調(話し方)など。
【 視覚情報 】
見た目、表情、しぐさや態度、視線など。身体言語(ボディーランゲージ)とも呼ばれます。「視覚情報」と「聴覚情報」を使ったコミュニケーションを「非言語コミュニケーション」「ノンバーバルコミュニケーション」と呼びます。
言語コミュニケーションと
非言語コミュニケーション
『メラビアンの法則』における「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3要素は、コミュニケーションの2つの種類、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」に分けられます。
◎言語コミュニケーションとは
トークや資料、メールなど、「言葉」を使ったコミュニケーションを指します。非言語コミュニケーションとの違いは、文法が確立しており、それだけでメッセージが伝わる点。ただし、非言語コミュニケーションと比較して圧倒的に情報量が少なく、「言葉」だけで相手の思いや感情を読み取る事は難しいと言えます。
◎非言語コミュニケーションとは
「聴覚情報」と「視覚情報」を使ったコミュニケーション全般を指し、『メラビアンの法則』では9割以上を占めます。表情やしぐさ、声のトーン等から感情を読み取る、いわば五感を使ったコミュニケーション。非言語コミュニケーションは相手に多くの情報を与え、よりスムーズなコミュニケーションを生みます。
非言語コミュニケーションを
活用するメリット
◎第一印象をアップする
『メラビアンの法則』を意識し、発する言葉や話し方、態度や身だしなみをブラッシュアップすることで、好ましい第一印象を与えることができます。
◎コミュニケーション力をアップする
『メラビアンの法則』は、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションのバランスの大切さを示しています。言語と非言語のバランスを意識し、相手に与える印象を想像しながら対面することで、スムーズな人間関係を築くことができます。
◎伝える力をアップする
「言語情報(話の内容や話し方)」「聴覚情報(声のトーンや大きさ)」「視覚情報(表情やしぐさ)」は矛盾することなく、一致させてください。
言葉でいくら「頑張ります」と言っても、小さな声で目線は下を向きでは情報が一致していると言えません。
相手は矛盾を感じ、不快になるでしょう。
言語・聴覚・視覚の3要素の一致は最も注意が必要です。
2つのコミュニケーションを
バランスよく活用する
相手に与える影響の9割以上を占める「聴覚情報」と「視覚情報」から成る、非言語コミュニケーション。これを有効活用することで、スムーズなコミュニケーションが実践できます。例えば、「売り上げが倍増します」とポジティブな話をする時は、はきはきと大きな声で快活に話し、ジェスチャーを加えると、インパクトが強くなります。
また、「言語情報」は7%と低い数値ですが、具体的に何かを伝える(プレゼンテーション等)上では、非常に重要な要素です。話す内容や言葉選びを間違えると、たとえ非言語コミュニケーションがうまくいっても、台無しになり兼ねません。ビジネスシーンでは資料など文字情報として残る場合も多いので、決して油断せず、適切な内容と言葉選びに心をくばりましょう。
◎お客さまとのコミュニケーション
商談やプレゼンテーションなど、自分の考えを相手に伝える場面では、まず「言語情報」である話の内容や言葉選びに注意します。次に「聴覚情報」である話し方や声のトーン、速さを、相手のタイプや年齢(聞こえ方)に合わせて決めます。最後に「視覚情報」として、その場に合った身だしなみや動作に配慮します。プレゼンテーションや商談の際は、事前に身振り手振りをイメージしながら練習すると良いでしょう。
◎社内でのコミュニケーション
社内でも、『メラビアンの法則』を活用しましょう。特に、同じ部署の仲間は、あなたの言葉選びや態度に敏感になる場合も少なくありません。例えば、価値ある仕事を終えた報告をする部下に、上司が目も見ず言葉だけで「よく頑張ったな」と言っても、真意は伝わりません。むしろ、期待はずれの反応に戸惑い、きちんと評価されない怒りや悲しみを感じ、モチベーション低下にもつながりかねません。日頃のコミュニケーションにも、『メラビアンの法則』の3要素がバランスよく一致していることが重要です。
2022.10.07
2022.09.22
2022.09.09
2022.09.02