〈新入社員必見!〉第一印象で差をつける【前編】

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~相手を尊重し、敬意を示す「身だしなみ」とは~

春は、就職・転職・異動や転勤・新たな商談など、新しい人間関係に出会う機会が多い季節です。

その際、相手に好印象を与えることは重要なポイント。好印象を与えるために、知っておきたいポイントをご紹介します。


第一印象を良くする5つのポイント

1. 挨拶

はっきりと聴き取りやすい口調で、元気の良い、明るい挨拶をする。

2. 態度としぐさ

若手世代/丁寧できびきびとしていること。

中堅世代/丁寧で落ち着いた所作。

世代共通/面談相手だけではなく、周囲の人の言葉にも耳を傾ける。

3. 表情

笑顔で柔和、落ち着いた表情で話す。

4. 身だしなみ

清潔で不快感を与えない「身だしなみ」であること。

5. 言葉づかい

状況にあった正しい言葉づかいができること。

今回取り上げるのは、④の「身だしなみ」。「今さら、新入社員でもないのに…」という油断が落とし穴になります。
社会人の基本である「身だしなみ」は、相手を尊重し、敬意を示す「マナー」です。
初心にかえって第一印象を見直すのは、営業マンとして決して無駄なことではありません。

対等なテーブルにつくために「身だしなみ」を整える

ビジネス社会には、不文律というものがあります。不文律とは「特に決まりはないが、守ることを暗黙のうちに前提とされる事柄」のこと。「身だしなみ」も、不文律の一つだと言えます。
「身だしなみ」の一般的な定義は、「身のまわりへの心がけ。頭髪や衣服を整え、言葉や態度をきちんとすること」です。
重要なのは、「きちんとする」という部分。「身だしなみ」を整えることで、周囲に「私はきちんとした社会人です」と示すことができます。

不快感を与えない、清潔感のある服装が、「身だしなみ」の基本です。
また、TPO《Time(時間)・Place(場所)・Occasion(場合)の頭文字。時と場所・場合に応じた、方法・態度・服装等の使い分けを意味する和製英語》を理解していることが重要になります。
日本のビジネス社会では、「オシャレ」以上に「身だしなみ」が優先されるのが一般的。職種にもよりますが、「身だしなみ」を無視した「オシャレ」は、受け入れられにくいのが実態です。
社会人として対等なテーブルにつくためにも、まずはマナーとしての「身だしなみ」を理解することが大切だと言えます。


◆男性の「身だしなみ」13のチェックポイント

①髪

ポイントは清潔感。黒に近い色味が、相手に安心感を与えます。髪形もすっきりと整った短髪がふさわしく、毛先を長くしてパーマをかけ遊ばせるなど、若者に流行の髪形は、かえって印象が悪くなります。美容室や理髪店で「自分に合ったビジネススタイルにして下さい」と相談すれば、髪質や輪郭、面ざしに合った髪形にしてくれます。ビジネススタイルであれば、時にはイメージチェンジも良いでしょう。しかし、寝ぐせがついたままの髪はだらしなく見えます。外出前に整えてから出かけましょう。

②ひげ

最近はひげをたくわえた人も増えていますが、原則として、ビジネス社会でひげはNGです。もともと「ひげ」には、男性性や力の誇示という意味合いがあります。人から認められる実力が無いうちや、新しい人に会う機会の多い人は伸ばさない方が無難です。伸ばす場合は、きちんと手入れをしなければなりません。伸びただけの無精ひげや剃り残しは、だらしない印象を与えます。海外と違って日本では髭に対して「不衛生」と感じることが高く、特に女性からは支持されにくいようです。

③鼻毛

意外に見落としがちなのが、鼻毛。伸びた鼻毛はそれだけで不潔に感じます。正面から姿見に全身を映すだけでは、気づきにくいのが原因です。洗面所の鏡や手鏡で細かくチェックしましょう。

 

④オーラルケア(白い歯・口臭)

黄ばんだ歯は、不潔感を感じさせ、実年齢より老けた印象を与えます。相手と対面する機会が多い営業マンにとって、オーラルケアは大切なエチケットです。

歯磨きが不十分、歯周病、胃腸の調子が悪い場合や鼻づまり、加齢に伴って、口臭はきつくなります。お客さまはあなたの口臭が気になって商談を聞く気になれない、同僚や部下もあなたの口臭が不快で話をしたくない、ということも起こります。日頃から、丁寧な歯磨き、定期的なデンタルケア、日々の体調管理に心がけましょう。お客さまを訪問する前に、口臭予防のタブレットやスプレーでケアするのもおすすめです。もちろん歯磨き後、口のまわりやネクタイに歯磨き粉がついていないかのチェックも忘れずに。

⑤爪

伸びた爪や汚れた爪は、不潔な印象です。特に女性は、意外と男性の手に注目しています。短く整え、清潔にしておきましょう。

⑥スーツ/ジャケット

よれやシワに注意し、タバコの残り香もチェックしましょう。帰宅後はきちんとハンガーにかけ、袖口やボタンのほつれも確認します。定期的にクリーニングに出し、メンテナンスを忘れずに。色の濃いジャケットを着るときは、肩や背中のフケ・ゴミにも気をつけましょう。

ジャケットは、体型に合ったものを選んでください。ぶかぶかで袖丈や着丈の合わないジャケットでは、「自己管理ができないのかな」「新米かな」と相手になめられることがあります。また、最近はタイトなシルエットのジャケットが人気ですが、体格の大きな人がきゅうくつなジャケットを着る姿は、暑苦しい印象を与えます。

体型に癖がある人は、既製品ではなくイージーオーダーを利用するのも良いでしょう。それほど高級ではなくても、きちんとした素材の、体型に合ったスーツを丁寧にメンテナンスする。それは、物事に対する姿勢にもつながります。

 

⑦スーツ/シャツ・ネクタイ

シャツは比較的、自由度が高いアイテムです。基本は白やオフホワイト、水色ですが、薄いピンクやストライプのシャツを合わせる人もいます。襟元が汚れていないか、擦り切れていないかチェックします。下着を着る際は、無地の白か淡色のものを。シャツからTシャツの文字やデザインが透けて見えるのは問題外です。

ネクタイも自由に楽しめるアイテムですが、基本の色や柄があるので、まずは無地か地味な色を選びます。自分のオシャレ度に応じて、増やしていくのが良いでしょう。

⑧スーツ/ズボン

しわがなく、きちんとプレスされていること。ひざが出て型崩れしたズボンはNGです。もちろん、サイズの合ったものを身に着けます。裾がほつれていないか、汚れていないかもチェック。ポケットにものを詰め込み過ぎるのもNGです。ズボンの消耗が激しい人は、替えズボンがセットになった「ツーパンツスーツ」がおすすめです。

⑨靴下

靴下は、黒もしくは地味な色を選びます。ふだんは隠れて見えませんが、何かの拍子に見えた時、派手な色や柄物の靴下では悪い印象を与えます。擦り切れや穴が開いているのは問題外。「身だしなみ」として、意外に品性が問われるアイテムでもあります。

⑩靴

靴は、ビジネスマンにとって重要です。デザインや色が、スーツやベルトに合っていること。汚れておらず、きちんと磨かれていること。高級でなくても革靴は何足か用意し、1日履いたら2~3日休ませ、履き回すことで長持ちさせましょう。最低でも週に1度は、専用のクリームで磨いてください。

⑪デオドラント(体臭予防)

営業マンは思いのほか汗をかきます。体臭は要注意です。汗をかきやすい腋の下や背中、耳の後ろや足の指に、塗るタイプの制汗剤をつけておくのも良いでしょう。スプレータイプで香り付きの制汗剤は、かえって汗と混じって独特の匂いになる場合があります。同じ理由で、男性の香水は避けた方が無難です。

⑫時計・アクセサリー

ビジネスマンの必須アイテムである時計ですが、これ見よがしにごつい、高価な時計を身につけるのは避けましょう。個性の主張はプライベートにとどめ、ビジネスシーンでは目立たないものを着ける方が「身だしなみ」に適しています。また、ピアスやネックレス・ブレスレットは、原則NGと考えた方が無難です。

⑬名刺入れ・その他の小物

いざという時、名刺を切らしているのは失礼になります。名刺入れをうっかり忘れた時のために、別の場所に予備の名刺を準備しておくのも良いでしょう。

ハンカチやティッシュも大切な必須アイテムです。見落としがちですが、いざという時に持っていないと、だらしない印象を与えてしまいます。


◆女性の「身だしなみ」13のチェックポイント

女性の場合、「身だしなみ」にかなう服装は、派手すぎず地味すぎず、「中庸」が求められます。
一方で、若干の華やかさが必要とされる場合もあり、男性より注意するポイントが多いと言えます。
とは言え、抑えるべき注意点が「不快感を与えない」「清潔感がある」「TPOをわきまえている」の3点であることは、女性も男性も同じです。

①髪

髪は、見た目の印象を決める重要なポイント。明るい色の派手な巻き髪や、手入れの行き届いていない傷んだ髪は、ビジネスシーンにふさわしくありません。ファッションに興味がなく髪形にも無頓着な女性がいますが、マナーとしては問題です。外見を飾ることに興味がなくても、最低限の「身だしなみ」は整えてください。

肩より長い髪はまとめた方が、スッキリした印象です。小顔効果を狙って顔の両側を髪で隠している人がいますが、作業中や食事中に髪の毛が落ちないよう配慮が必要です。特に、食事中ひんぱんに髪をかきあげるスタイルは周囲にとっては不快。状況に応じて髪を邪魔にならないようまとめるのが、「身だしなみ」にかなっています。

②メイク

メイクは、無頓着でも、し過ぎても、マナーに反する難しい面があります。職種にもよりますが、人と会う機会が多い営業職は、やはり最低限のメイクが「身だしなみ」として求められるようです。

とは言え、生まれつき目鼻立ちがはっきりしていてメイクをするとむしろ派手な印象を与える人もいます。化粧をしてもさほど変化のない素肌美人もいます。状況や面立ちによって、メイクの程度を判断する柔軟さが求められます。

いずれにしても、ナチュラルメイクを基本にすれば間違いありません。顔の印象を変える目的でしっかりとメイクをする女性がいますが、ビジネスシーンで過度なメイクは禁物。眉毛やマスカラ・アイラインで目元を華やかに演出するのは、ほどほどにしておきましょう。ビジネスシーンでメイクが求められるのは、すっぴんでは顔色が悪く、だらしない印象を与える場合があるからです。ファンデーションでナチュラルなベースメイクをし、うっすらとチークを乗せ、自然で健康的な表情に仕上げましょう。

③口元

歯磨きを怠る女性はあまりいないと思いますが、外出前は余裕を持って準備し、靴を履く前に再度口元をチェックしましょう。口紅は派手すぎず、ソフトな印象のものを。顔色が明るく見える、オレンジベージュやヌーディなピンクがおすすめです。グロスはつけ過ぎてテカテカにならないよう注意してください。

コップやカップで飲み物を飲んだ後は、口紅のあとをぬぐうのを忘れずに。ちょっとした心づかいは、「身だしなみ」を心得た大人の女性という印象を与えます。

④爪

手入れされた短い爪は好印象。ストッキングに引っ掛けないよう、爪の先を軽く磨いておくとスマートです。ナチュラルなベージュやピンクのマニキュア程度なら、指先の彩りとしてOKですが、原則としてネイルはビジネスシーンにはふさわしくありません。仕事へのやる気を問われかねないので、やめておいた方が無難です。

⑤スーツ/ジャケット

黒・グレー・紺色を基調とした無地のものが一般的ですが、白やオフホワイト・薄いピンクやオレンジベージュなど、明るい色のジャケットも好印象です。明るい色は顔の印象を華やかにするので、季節やTPOに応じて使い分けると良いでしょう。いずれも、ジャケットは無地のものが無難です。

袖や裾が長すぎず短すぎず、身体に合ったサイズを選びます。ただし、ボディラインを強調し過ぎるのはNG。セクシーな印象は、相手にだらしなさを感じさせます。

⑥スーツ/インナー

インナーのシャツは、派手でなければ多少の柄があっても大丈夫です。細かいドットやストライプ・小花模様は、「身だしなみ」の範ちゅうであれば、オシャレな印象を与えます。逆に、グレーのジャケットに黒いシャツなど、クールすぎる色の組み合わせはビジネスシーンにふさわしくありません。女性らしい若干の華やかさを考慮しましょう。インナーは開襟シャツでも、丸首の無地シャツでも、カットソータイプでも構いませんが、胸元が開き過ぎは要注意。胸の谷間が見えるものは絶対にやめましょう。

⑦スーツ/スカート

スカート丈は、短すぎず、足が露出し過ぎないものを選びます。ボディラインを強調したものや、スリットが深過ぎるスカートはNGです。膝より多少上下する長さが、ビジネスシーンにふさわしいと言えます。裾やファスナー部分のほつれは、日頃からチェックしておきましょう。

⑧スーツ/パンツ

しわのない、プレスされたパンツを着用します。カジュアルなものが許される職場であれば、セミワイドパンツやチノパン、足首が見える丈のパンツも良いでしょう。清潔感があれば大丈夫。ただし、もともと作業着から始まったジーンズは、ビジネスシーンには適していません。大人としてふさわしい素材のパンツを着用してください。

⑨ストッキング

ビジネスシーンでは、素足ではなくストッキングを着用するのが大人の「身だしなみ」です。光沢のない、ヌードベージュやブラウンなどを選んでください。場合によっては、黒でもOKですが、夏場は暑苦しい印象なので気をつけましょう。また、出先でストッキングが伝線すると、目立ちやすく恥ずかしい思いをします。いざという時にあわてずに済むよう、予備のストッキングをバッグに入れておきましょう。

⑩靴

高いヒールはふさわしくありません。高さ5cm前後の、落ち着いた印象のパンプスがおすすめです。夏場にオープントゥの靴は涼しい印象ですが、ビジネスシーンにはふさわしくありません。つま先が隠れるタイプの靴が「身だしなみ」にはかなっています。

もちろん、定期的な手入れも欠かさずに。傷がつき、かかとが消耗した靴は、だらしない印象を与えます。かかとが消耗したら、すぐに専門店で取り換えましょう。

⑪アクセサリー

派手でなければ、女性のピアスやネックレスはOKな場合が多いようです。女性営業職の場合、地味過ぎるよりワンポイントのアクセサリーで華やかさを添える方が、好印象を与える場合があります。工夫して、「身だしなみ」にかなう範囲でオシャレを楽しんでください。ただし、石のついた指輪はビジネスマナーとしてNGです。

⑫名刺/その他の小物

男性と同じく、大事な場面で切らすことのないよう、名刺のチェックは欠かさず行ってください。ハンカチやポケットティッシュなども必須です。

⑬デオドラント/香水

女性の場合、体臭を気にしてデオドラントに配慮する人が多いようですが、つけ過ぎてかえって独特の臭いになっている場合が少なくありません。香料配合のデオドラント剤は、汗と混じってイヤな臭いになるものがあり、注意が必要です。塗るタイプは、無臭なのでおすすめです。

香水やオーデコロンは、すれ違いざまにほのかに香る程度なら、とても好印象です。しかしどんな香りでも、すべての人が「いい匂い」と感じるわけではありません。つけ過ぎは絶対にNG。「香害」という言葉もあるほど、強い香りは周囲にとって迷惑です。足首と手首に少量つけるだけで十分。それ以上は「身だしなみ」の範ちゅうを超えます。

出かける前の身だしなみチェック

新入社員に限らず、社会経験を重ねた中堅世代でも、出勤前や商談に出かける前はバタバタしがちです。しかし、いざという場面で「しまった!」となる事態は避けなければなりません。

◎玄関に身だしなみチェックリストを貼っておく

出勤や外出時に準備すべき服装や小物は、意外と多いもの。しかし必要なものは、ほぼ同じはずです。リストを作り、メモを玄関先に貼っておけば、うっかり忘れを防ぐことができます。
途中で忘れ物に気づいて引き返すのは、時間の無駄だけではなくモチベーションにも影響します。

◎全身が映る姿見で「身だしなみ」をチェック

社会人にとって、全身が映る姿見は必須アイテム。特に一人暮らしの人は、おかしな部分も自分で気づかなければなりません。玄関近くに姿見を置き、自分の姿をチェックして出かけましょう。
また訪問先では時間にゆとりをもって出かけ、大きな鏡のある最寄りの洗面所で、「身だしなみ」を確認しましょう。気もちの切り替えにもなります。