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時代が変わる!営業が変わる!【後編】~営業プロセスアウトソーシングの有効活用~

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『働き方改革』は、4月1日施行の「最低5日以上の有給消化の義務化」を契機に、いよいよ実践段階に入りました。「営業は有給休暇など取れない!」「有給消化でマンパワーが落ち、売上が下がるのは本末転倒!」という声も聞こえてきます。しかし、社会全体でワークライフバランスへの取り組みが進む中、「営業は変えようがない」という既成概念から脱却し、いかに変革に取り組めば有効な営業活動に転換できるのか、考えてみませんか?


営業の業務プロセスは、「アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング、フォロー」の5段階で構成され、これまではメンバーが1人で全プロセスを担うのがあたりまえでした。しかし、残業削減や有給休暇の義務化など『働き方改革』に伴う施策で実質勤務時間が短縮する中、現在の営業メンバーで「増収増益」「営業課題の克服」「有給消化を含めたワークライフバランス」をすべて実現するのは、もはや現実的ではないと言えます。

「5日以上の有給消化」の条件でシミュレーションをすると、20名の営業メンバーがいる企業では、<20名×有給休暇5日=100日>で、年間100日分のマンパワーが減ることになります。

「営業メンバーを増員すれば良い」という意見もありますが、採用市場の実態や人件費など固定経費の削減という理由から、「簡単には人が採用できない時代」になっています。こうした中で営業部門の『働き方改革』を実現するためには、現在の体制や業務内容への既成概念(=思いこみ)から、脱却する必要がありそうです。

そこで注目されているのが、正社員として営業メンバーを採用するのとは別に、外部の営業戦力を活用する「営業プロセスアウトソーシング」の導入です。(※アウトソーシング…外部委託)

「分業」を前提に業務プロセスを「見える化」し、外部に委託できる業務と、営業メンバーが集中的に取り組む業務に分けて、新たな業務プロセスを構築します。サッカーに例えるなら、シュートできるところまでアウトソーシングを利用し、後はシュートするだけの状況をつくる戦略だと言えます。  
 

そこでまず、前編でご紹介した「営業プロセスアウトソーシング」に関して、情報を整理しておきましょう。           

◎「営業プロセスアウトソーシング」とは、
営業全般のさまざまな業務を社外のプロフェッショナル企業に委託すること。

◎「営業プロセスアウトソーシング」には大別して
「営業アウトソーシング」「営業代行」「営業派遣」の3つのカテゴリーがある。

◎3つのカテゴリーは提供されるサービス内容や委託コストが異なるので、
それぞれの特長を十分に把握した上で、適切なサービスを利用する必要がある。

本来、「営業プロセスアウトソーシング」は、以下二点の目的で導入されます。

◆業務効率化  

企画業務や戦略立案などのコア業務を自社メンバー(正社員)が担当し、アポイント設定や初回ヒアリング、資料送付や契約後のフォローなど、マニュアル化できる定型業務の部分に、「営業プロセスアウトソーシング」を導入します。

自社メンバーをコア業務にシフトすることで、集中的に付加価値の向上を図ることができるため、より高品質な商材サービスの開発や提供を実現できます。結果として、固定人件費の圧縮を図ることができるので、労働時間の短縮が注視される昨今の状況下において、非常に有効な施策だと言えます。

◆プロスキルの活用

中堅・中小企業やベンチャー企業など、限られたマンパワーで成果を上げることが求められる組織では、既存社員に不足しているプロのスキルを外部からどれだけ調達できるかが、目標達成の大きなカギです。

アウトソーシング企業には、営業経験値の高い人材が数多く登録されています。短期間に営業体制を整える必要がある、新規事業や販売チャネル開拓のスタートアップなどで、「営業プロセスアウトソーシング」によるプロスキルの活用が進んでいます。

「営業プロセスアウトソーシング」4つのポイント

「営業プロセスアウトソーシング」を導入する企業は年々増えていますが、中には、運用面に課題が生じているという報告もあります。十分に活用できないまま、「やはり営業の外部委託は難しい」と早々に判断し、外部委託をあきらめる動きが見られるのは非常に残念です。言うまでもなく、きちんと活用できさえすれば、企業にとって「営業プロセスアウトソーシング」が有効であることは間違いありません。

やはり、現在の営業業務をどれだけ棚卸しし、「見える化」ができているかによって成功と失敗が決まるようです。十分に業務が「見える化」できていれば、どこを業務委託すれば良いか、的確な判断が可能になります。

(1)何の業務を任せるのか、明確にする

実は、ここがあいまいな企業が少なくありません。
例えば、一般的なリストと商品を渡して「これを売って欲しい」と言うだけでは、目的は果たせないのです。本当にこのリストで良いのか、新規開拓か既存客のフォローか、どんなトークにするか、他に委託すべき業務はないか…。現在の業務プロセスを整理して外部委託すべき業務を明確にし、目的に応じてアウトソーシング企業と綿密に打ち合わせながら、万全の準備を整えましょう。

(2)過剰な期待をしない

「外部委託すれば、もう大丈夫」という過剰な期待は禁物です。「営業プロセスアウトソーシング」はあくまでも「黒子」。先述したように、サッカーに例えるなら、着実にシュートできるところまでお膳立てをするのが「営業プロセスアウトソーシング」の役割です。肝心なシュート(クロージング)をするのは、顧客であるあなたの役割だということを忘れないで下さい。
その点が、依頼すればプロが滞りなく成果を出してくれる、パソコンの入力作業や受付業務などをアウトソーシングする場合との違いです。もともと営業の仕事は属人的要素が強く、会社によって営業スタイルも大きく異なります。外部委託できるのは、属人的ではない業務のみ。絶対に外部委託できない属人的な部分は、自社営業メンバーそれぞれの持ち味として生かし、しっかりシュート(クロージング)を決めて下さい。

(3)アウトソーシング会社は慎重に選ぶ

依頼するアウトソーシング会社によって、営業スタッフの資質には差があります。契約しようとしているアウトソーシング会社が、基本的なマナーや求める資質、業界知識や商品知識を有した人材を抱えているのか、またそのための教育体制があるのか、事前にしっかりと確認した上で、信頼できるアウトソーシング会社を選びましょう。

(4)導入予定部署の受け入れ態勢を確認する

「営業プロセスアウトソーシング」が十分に活用できるかどうかは、導入する部署のマネジャーやメンバーがどれだけ導入・活用イメージを持っているかで大きく変わります。経営陣や管理部門が導入を判断しても、現場がその価値をしっかり理解していなければ活用できません。この点は、経営陣や管理部門が事前に把握しておき、課題があればオリエンテーションなどで事前に対策を取る必要があります。


以上4つのポイントに注意をしながら進めることで、「営業プロセスアウトソーシング」よる大きな成果が期待できます。

営業部門における『働き方改革』の実現は、いかにマンパワーを落とさず、生産性を向上させるかがポイント。1人の営業メンバーが担える業務には、時間的にも能力的にも限界があります。各メンバーの特性を引き出し最大限の成果を出すと同時に、彼らのワークライフバランスをしっかり守る。そのためにも、「営業プロセスアウトソーシング」を積極的に導入してみてはいかかでしょうか。