時代が変わる!営業が変わる!【前編】~『働き方改革』による営業の変革~

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『働き方改革』に伴って労働基準法が改正され、今年4月から、年10日以上有給休暇の権利がある従業員に対して、最低5日以上の有給休暇を与えることが義務付けられました。全従業員が対象であり、違反企業には30万円以下の罰金が科せられます。

これを機に、「働き方改革」に真剣に取り組む必要性が一層高まりました。特に営業部門においては、既成概念を打破する強い意思をもって新たな体制づくりに取り組まなければ、危機的状況になりかねない時代が到来したと言っても過言ではありません。


4月1日から施行される「有給休暇の義務化」に関して、皆さんの会社ではどのような対策が取られていますか? 対応できない場合、罰則対象になるだけではなく、従業員とのトラブルに進展する危険性さえはらんでいます。いずれにしても、今後の労務管理や採用活動への影響も予想される「有給休暇の義務化」については、その改正内容を十分に把握した上で、万全の対応をとる必要があります。まずは、今回の法改正がどのような内容なのか、ポイントを見ていきましょう。

義務化された、最低5日以上の有給消化

労働基準法の改正により、「年10日以上の有給休暇の権利がある従業員には、最低5日以上の有給休暇を与えること」が義務付けられました。これは、「有給休暇取得が5日未満の従業員には、企業側が有給休暇を指定して取得させなければならない」ということです。

営業現場にこの制度を当てはめた場合、20名の営業スタッフを抱える企業では、年間100日分のマンパワーが減ることになります。

⇒ 20名×有給休暇5日=100日分のマンパワー減

これは決して見過ごせない数字です。企業は何らかの対策を講じてマンパワーを補わない限り、今のままでは間違いなく業績が落ちてしまう恐れがあります。

その解決策として注目されているのが、「営業プロセスアウトソーシング」です。現状の営業体制を見直し、属人化している業務を標準化し、プロセスを分業化して、「営業プロセスアウトソーシング」を導入する。従来にはない発想で、新たな営業体制構築に取り組む流れが着実に広がっています。そして、営業業務の効率化によって生産性を向上させる企業が増えています。

「営業プロセスアウトソーシング」とは何か

「営業プロセスアウトソーシング」とは、営業全般のさまざまな業務を社外のプロフェッショナル企業に委託することです。自社スタッフがコア業務に専念できる体制づくりを実現する、戦略的な取り組みでもあります。

アウトソーシングはこれまで、管理部門などノンコア業務において、自社スタッフの負担を削減しながら高い生産性を生み出すサービスとして定着してきました。しかし近年は、企業収益に直結するコア業務の営業部門でも、その有効性が注目されています。

もともと営業は属人性の高い業務であり、アウトソーシングには向かないと言われてきました。しかし営業業務を見直し、標準化や分業化を進めることで、外部へ委託できる領域は着実に広がりました。何より、「営業アウトソーシングサービス」を標榜する企業の増加がそれを証明しています。

提供されるサービスを見極める

営業業務の委託といっても、そのサービス内容はさまざまです。各社の特性を十分把握せずに安易に契約してしまうと、自社のニーズを満たしきれず、結果として不要な委託コストがかかることになります。

まずは「営業アウトソーシング」、「営業代行」、「営業派遣」の3つのカテゴリーで営業業務を大別し、それぞれの特長を把握しましょう。

◎「営業アウトソーシング」は、コンサルタントへの一括委託

「営業アウトソーシング」では、自社の営業部門で行っている業務を一括して外部に委託します。営業業務は単に自社商品やサービスを販売するだけでなく、新規開拓や販路拡大のための戦略立案やプロジェクト実行など多岐にわたります。顧客のフィードバックを活用して、新たな商品やサービスを考案する。あるいは営業戦略の修整でPDCAを回すなど、とても幅広いと言えます。

そのため委託先を選ぶ際は、業務全般に高い専門性を有していることはもちろん、営業コンサルティングが得意なメンバーが揃っている点を十分にチェックしましょう。

<営業の主な業務>

●新規開拓営業
●見込客獲得営業
●提案営業
●テレフォンアポイントセールス
●ルート営業
●店舗巡回営業
●マーケティングリサーチ
●訪問調査・告知・勧奨
●電波調査        他

◎「営業代行」は、指定業務のみの外注

「営業代行」は、自社の営業部門が行っている業務の一部を、外部の人材に代行してもらいます。例えば、電話営業や訪問営業などに特化して、販売活動を行うといった内容です。獲得契約数に応じた「成果報酬型」が一般的なので、かかる費用も変動的です。コールセンター業務を併用するケースも多く、営業スタッフが不足している企業にとっては、積極的な営業活動を通して、短期的な売上増加が見込めるサービスです。マンパワー不足で営業機会をロスしている企業にとっては、有効な委託方法だと言えます。

◎「営業派遣」は、営業スタッフの補充

「営業派遣」とは、人材派遣会社から営業に長けた人材を派遣してもらうサービスです。管理部門など他部門と同様、”人材補充”という性格が主になります。

営業に特化した人材派遣を行っている企業は多く、高い営業スキルや他社のノウハウ、新たな販路といった有益な資産を持つ人材を自社に取り込める点はメリットです。繁忙期や新たなプロジェクトのスタート段階など、ピンポイントでマンパワーを必要とする場合には、頼もしい即戦力になってくれます。

ただし人材派遣の場合、契約段階で委託業務を細かく指定するため、イレギュラーな対応など契約外の業務は原則として行いません。委託する業務の範囲が限定的なので、その部分で「とにかく人手が足りない」、「短期間で高い効果を上げたい」という場合には、活用メリットが高いサービスだと言えます。

委託先選択の判断材料は「費用対効果」

同じ営業業務の外注とは言え、その内容はケースによって大きく異なります。営業は成果が可視化されやすい業務だけに、投下コストに対する効果については、判断がシビアになる傾向にあります。

「営業アウトソーシング」、「営業代行」、「営業派遣」の3サービスの中でもっとも費用がかかるのは、業務量や範囲の広さ、責任の大きさといった点で、「営業アウトソーシング」でしょう。しかし月額固定制の契約が多く、イレギュラー対応も含めて広範囲な業務を一括で担ってくれる点を考えれば、費用対効果が高いサービスです。委託先を選ぶ際には、柔軟な対応力と幅広いスキルを持つ人材の層が厚いこと、またコンサルティング実績の内容がチェックポイントになるでしょう。

「営業代行」は先述のように、成果報酬型の契約でコストが変動する場合が大半です。3サービスでもっとも低コストなのは「営業派遣」ですが、優秀な人材であれば、当然人件費は高くなります。

「営業代行」や「営業派遣」は、いずれも一定期間に特定業務で成果を上げることが目的なので、求める成果と成果を出す期間を明確にした上で委託して下さい。

上記3サービスの内容にはそれぞれ特徴があり、委託先によって成果に大きな違いがあります。「自社の営業部門には何が必要で、何のために外部に業務を委託しようとしているのか」という原点を見極めながら、最適なサービスを提供してくれる委託先を選ぶことが大切です。


『働き方改革』は、法改正によっていよいよ実践段階に入りました。従来の「営業」という仕事に抱いていた概念や考え方は、もはや通用しない時代を迎えています。では、「営業」という業務が大きな転換期を迎えた今、どのような変革に取り組めば、有効な営業活動を展開できるのでしょうか?

後編では、「営業アウトソーシング」を効果的に導入するポイントについて考えてみたいと思います。

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