展示会出展後の営業フォローのポイント [MISSION]《東京ビックサイト》来場者へのフォローアプローチ【前編】

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ビジネスイベントへの参加は、未来の商談に向けた「種まき」の場です。しかし、参加準備や期間中のブース対応に追われ、肝心の来場者フォローが遅れがちな企業が少なくありません。こうした課題にも、私たちは確かな仕事でサービスを提供しています。


「夏のイベントの来場者フォローを、お願いできませんか?」

と相談されたのは、ゴールデンウィークが明けて間もない頃のことだ。相手は、ICTソリューションサービスを提供している大手企業・A社。これまで九州には拠点を置かず、必要に応じて東京本社からの出張で営業対応をしてきた。

この春、新たに開発した『クラウド型・勤怠管理サービス』の本格展開にあたって、福岡エリアで効率的に市場開拓を進めるため、事前アポイントの設定を牟田のチームが請け負ったのが、牟田とA社との関係が始まるきっかけとなった。

私たちは3月上旬から4月半ばにかけて、A社の担当者W様が用意されたリストをもとに事前に資料を郵送し、それに対するフォローを行いました。リストに挙がった1000社は、すべて福岡市圏にある従業員100名以下の中小企業。この時のアポイント設定目標は、「件数50件・設定率5%」と高い数値でした。結果として、6週間の契約期間中に私たちが設定したアポイントは、「件数21件・設定率2.2%」。目標数値には届かなかったものの、そこから数件の成約が生まれたことで、私たちが設定するアポイントの「質」に対して、高い評価をいただきました。

「夏のイベントの来場者フォローを、お願いできませんか?」

というA社・W氏の言葉は、初めての契約で牟田のチームが残した実績にもとづいた「信頼」の表れでもあった。

今回、東京ビッグサイトを舞台に3日間にわたって開催されるのは、人事労務・教育・採用分野に特化した情報が集約された、大規模なビジネスイベントである。A社は今回の出展に際して3つの目標を掲げた。

①顧客情報獲得(名刺)合計1000枚をめざす

②認知の拡大(顧客と製品をマッチングさせる)

③本契約を念頭においた、商談機会を創出

牟田のチームが担う来場者フォローは、③にあたる。出展経費も約1000万円と力が入ったもので、そこから得られる出展効果に大きな期待が寄せられていた。

A社の『クラウド型・勤怠管理サービス』は、マニュアルいらずの使い勝手の良さと、安価なサービス利用料が魅力です。しかし、勤怠管理システムという商材は競合他社が多く、ブースに立ち寄って得られる情報だけで、他社商品との違いを理解するのは困難です。それぞれの来場者(社)とA社が丁寧に関係を築き、幅広い選択肢からA社を選んでいただけるような信頼につなげることが求められます。

近年、コンベンション・シティとして、全国的な注目を集めている福岡市。この街で暮らす牟田にとって、大規模なビジネスイベントと実際の営業活動との連動は、かねてより興味深いテーマでもあった。牟田自身、これまで全国各地で開催される数多くのビジネスイベントに足を運んできた。仕事で関わる多くの企業にも、出展経験がある企業が少なくなかった。しかし牟田はいつも感じていた。それは、イベント出展というチャンスを、実際の売り上げ拡大に結び付けられない企業が、あまりにも多い点だ。参加準備や集客、開催期間のブース対応などに時間と労力を取られ、イベント終了後の来場者フォローが不十分なため、ビジネスチャンスを逃す企業が少なくない。

「もったいない」

それが、牟田がいつも抱いている率直な思いである。その意味で今回の案件は、ずっと牟田が感じていた「もったいない」という課題への、新たな挑戦でもあった。「お客さまが営業に専念できる流れを作ること」、「お客さまと一緒に、商談を育てること」。前回の導入実例で紹介したように、これが牟田たちの大切にしているスタンスだ。来場者フォローによって新たな商談の芽を開花させる。それが牟田の強い思いであった。

これまで牟田のチームは、200名規模のセミナーへの集客や来場者フォロー案件は、いくつも手がけてきた。そこから商談・成約につながった例も枚挙にいとまがない。しかし、今回のような大規模ビジネスイベントの来場者フォローは、初めての経験である。これを機に、新たな業務フローを確立することができるかもしれない。さまざまな思いが交錯し、牟田の気もちを押し上げた。

「承知しました。一緒に必ず、良い結果を出しましょう」

牟田はW氏にそう告げると、さっそく成功に不可欠な要件をもとに、準備を進めた。

この案件のポイントは、「スピーディーなフォロー」と「柔軟なトークスクリプト」にあると私は考えました。「スピーディーなフォロー」には、異論の余地がないでしょう。イベント終了と同時にフォローするタイミングを、決して逃さないことが肝心です。そして「柔軟なトークスクリプト」で、弊社ならではの持ち味が生きると直感しました。

大規模なビジネスイベントにおいて、大半の来場者の目的は「情報収集」です。リアルな課題が顕在化していれば、すでにブースで商談はスタートしています。しかし私たちがアプローチするのは、具体的な商談はおろか、何気なくブースをのぞいて名刺を置いて行かれた来場者です。「商品に少し興味をもった段階」の方々と未来につながるご縁を築く上で、私たちが担当するファーストアプローチは、とても重要な役割と言えます。

そして牟田は、「トークスクリプト」のポイントを、以下の3点に整理した。

(1)来場に対するお礼

(2)興味・関心の確認

⇒「解決したい課題がございますか?」

⇒「サービスの導入検討時期は、いつ頃ですか?」

⇒「展示会参加後、弊社のホームページをご覧になりましたか?」

(3)中長期の情報提供の場として、アポイントを設定

現時点で顕在化したニーズや課題を意識していない相手に、性急な営業的アプローチをするのは危険です。まずは、時間を割いてブースに立ち寄り、名刺を残して下さったことへの素直なお礼を述べること。次に、商材への感想や潜在的なニーズを丁寧にヒヤリングすること。そして、先々の関係への第一歩として情報収集・提供の場をいただけないか提示すること。この3点に集約して、コールの流れを作りました。

特にヒヤリングにおいて、「営業経験3年以上」という弊社オペレーターの資質が重要になります。話の内容だけでなく、声のトーンやテンポを感じながら会話を交わし、相手の状況や思いを把握する。それによって、設定するアポイントの「質」が変わってきます。

今春、初めて請け負ったA社の案件では、商談につながりやすい「質」の良いアポイントを設定できました。この成果によって、信頼関係の基盤が築けました。今回はその信頼を深めるため、もう一歩ふみ込んで「一緒に商談を育てる」パートナーシップを構築したいと強く思いました。

偶然にも、牟田とW氏をはじめA社の担当メンバーの年齢は近い。来福時は食事などプライベートな時間の共有しながら、同世代ならではの夢や思いを語り合うことができた。

後編につづく