役員クラスのアポイントが取れる営業リストの作り方 [MISSION]大手企業 役員クラスのアポイント獲得【前編】
お客さまが、数ある同業他社の中から私たちを選んで下さる理由には、いくつかのポイントがあります。今回は、お客さまの商談が着実に成約につながるよう、私たちが大切にしている「リストの質」と「アポイントの質」について、お伝えします。
「ちょうど、次の戦略をどうするか、考えていたところです」
電話の向こうの女性担当者・C氏が、弾んだ声を響かせた。きっかけは、私たちが定期的に配信しているFAX・DМだ。配信後のフォロー電話で、冒頭の言葉が飛び出した。願ってもないタイミング、このチャンスを逃すわけにはいかない。担当の牟田は、相手の現状を知るため、いくつかの質問を投げかけた。
相手先企業は、世界的知名度のあるコンサルタント会社のF社。1案件が1000万円以上の取引で、取引先の大半は大手企業であった。これまでは取引先からの紹介営業が主体であったが、ここ1~2年で新たなマーケット拡大に向け、積極的な営業戦略へと舵を切っていた。マーケティング企画の実力を買われ、C氏が今回のプロジェクトに就任したのが前年の秋。以来、約半年にわたって東京本社の専門業者にアポイント代行を依頼し、新規マーケットの開拓を進めていた。期待したような成果が上がっていないため、次なる戦略を模索している、そんなタイミングであった。
「弊社では、アポイントの設定目標を5%と位置づけています」
というC氏の言葉に、牟田は驚いた。日ごろの営業活動で牟田のチームは、「平均アポイント設定率4.6%(対リスト件数)」を自社のアピールポイントにしている。この数字自体、同業他社の中ではかなり高い水準だ。それを上回る目標数値を提示され、ひるむどころか、牟田の心に火がついた。
「実践的なご提案をいたします。まずは詳細なヒヤリングにお伺いします」
と伝え、C氏に会うために上京した。
C氏は牟田の提案を理解し、リストに「担当者(キーマン)」の名前を加える作業を快く受け入れた。そして、ほぼ100%に近い割合で「担当者(キーマン)」の名前が入ったリストを用意してくれた。そのリストをもとに、「営業経験3年以上」のオペレーターがそろった牟田チームによる、F社の新規マーケット開拓プロジェクトが再スタートした。
契約は毎月更新で、結果として4月から9月までの半年間続いた。月間で約300件、半年間で約1800件のリストにアプローチした。牟田は月を4週に分け、1週間で75件ずつアプローチするスケジュールを立てた。前週の水曜日にC氏から75件のリストをもらって資料を郵送、週明けの月・火で「担当者(キーマン)」にファーストコールをする。つながらなければ水・木・金に再度コールする。1週間で3回つながらなければ、いったんアプローチをストップし、不要な警戒心をもたれないよう配慮する。このサイクルで業務を進める理由は、アプローチの状況と結果が検証しやすい点である。また「担当者(キーマン)」を調べてリストを準備する、C氏の負担も多少は軽減できる。アプローチ状況に関しては、Excelのデイリーレポートで日々報告した。このようなきめ細かなタスク管理が、牟田のチームに対する信頼へとつながっていった。
本来、アプローチ先からの正確な回答は、担当者(キーマン)からしか得られない。そのためには、「受付NG」を減らさなければならない。牟田は、「受付NG」の回答先については、担当者(キーマン)の動向を確認しつつ、タイミングをずらして後日、再アプローチすることをC氏に提案した。
結果として牟田のチームは、4月から9月の半年間でリスト先1793件にアプローチし、エグゼクティブクラス(役員・取締役・部長)のアポイント を42件設定した。アポイント設定率は2.3%。F社が掲げる目標5%や、牟田が日ごろ明示している「平均アポイント設定率4.6%(対リスト件数)」には満たない数値だ。しかし、C氏はこの結果を失敗ではなく、むしろ大きな可能性を感じさせる取り組みとして評価した。もちろん、牟田も手ごたえを感じていた。結果として、新年度である10月からの1年間、牟田のチームがF社のアポイント代行を担うことになった。その大きな要因となったのが、同業他社とは一線を画す「アポイントの精度」であった。⇒後編につづく
最初の電話のやりとりで、おおまかな現状の課題は把握できました。同時に、それに対して弊社が提案できるポイントも脳裏に浮かびました。あとは、その提案が可能な風土の企業であるか、また担当のC様にどこまでご協力いただけるのか、直接お会いして判断しようと思いました。
ちなみに今まで、C様に直接お会いしたのはこの時だけです。あとは、電話やメール、WEBミーティングでコミュニケーションをとっています。互いに無駄のないやり取りで実践的なおつきあいができる信頼関係を築くため、最初にお会いする機会を大切にしています。単なる「ご挨拶」ではなく、「この会社はつきあう価値がある」と感じていただけるよう、最初の扉をいかに開くか。そこで、営業の人となりを含めた実力が試されます。