展示会出展後の営業フォローのポイント [MISSION]《東京ビックサイト》来場者へのフォローアプローチ【後編】

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【前編のあらすじ】 (前編はこちら

東京ビッグサイトで開催された大規模なビジネスイベントに出展した、ICTソリューションサービスの大手企業・A社。目標数の名刺を獲得し、いよいよ来場者フォローが始まりました。お客さまが営業活動に専念できるよう、牟田のチームが本格始動します。

2017年7月下旬、三日間にわたって開催されたビジネスイベントは、約4万5000人の来場者を集め、盛況のうちに幕を閉じた。A社のプロジェクトチームは、新開発の注目商材『クラウド型・勤怠管理サービス』の販路開拓に向け、熱心に事前の呼びかけや当日の呼び込みを行った。その結果、予想をはるかに上回る数の来場者をブースに集客することができた。当初、担当者W氏が掲げた目標は次の3点であった。

①顧客情報(名刺)の獲得合計1000枚をめざす

②認知の拡大(顧客と製品をマッチングさせる)

③本契約を念頭においた、商談機会を創出

このビジネスイベントへの出展企業746社のうち、勤怠管理システム関連の商材を取り扱う企業は27社を数えた。その中で他社と一線を画し、有効な商談に結び付けるためには迅速かつ丁寧な「来場者フォロー」がカギとなる。スペックやその他の優位性など、開発部門が技術の粋を集めて開発した思いを引き継ぎ、販路開拓を担うプロジェクトチームの意気は上がっていた。

結果的に、開催中ブースに立ち寄って名刺を残した来場者は約2000名に上った。目標の二倍の人数である。いかに事前の告知や情報提供に力を入れたか、また、開催中ブースをのぞいた来場者にいかに的確で熱心な対応を行ったかが、名刺2000枚という数字に表れている。A社のプロジェクトメンバーは、目標の①と②を見事に果たした。次は、③を担う牟田のチームが結果を出すだけである。

開催中、応援スタッフを含めたA社の皆さんは、熱心に来場者への対応をされました。何気なく立ち寄った来場者が思わず立ち止まって、スタッフの話に耳を向ける。それは商材の魅力だけではなく、スタッフの対応力の高さゆえに他なりません。本来、名刺を残すことは「今後、何らかのアプローチをされてもかまいませんよ」という、来場者の暗黙の意思表示です。そこに自然な形でアプローチする。「来場者フォロー」と言うと、いかにも商材の売り込みのように受け取られますが、そうではありません。立ち寄って話を聴き、名刺を残して下さった。ならば、まずはお越し下さったお礼を伝える。人と人との出会いの基本から、私たちは「来場者フォロー」を進めました。

今回、A社・W氏から伝えられた目標は、次のような内容であった。

「名刺リスト1000件、担当者ヒヤリング700件、アポイント設定30件、設定率3%」。

予想を上回る来場者から得た、約2000枚の名刺。ブースで具体化した案件は、そのまま営業担当者が商談を進めた。平行して、それ以外の来場者の名刺はA社の担当者がブース裏で即時にデータ化し、来場へのお礼メールを送った。さらに、そのデータを精査した上で、牟田のチームがアプローチするためのコールリストが作成されていった。

今回の案件で牟田が掲げたテーマは、「スピーディーなフォロー」と「柔軟なトークスクリプト」であった。イベント閉会直後からスタートさせる、短期集中の丁寧なフォロー。来場者の記憶と、興味関心の熱度が高いうちに、確実に関係づくりをスタートさせたい。そのコンセンサスは、A社と牟田の間でしっかりと確認できていた。ブースの表では熱のこもった来場者への対応が、ブース裏ではお礼メールの発信とコールリスト作成が粛々と進められた。この時すでにA社と牟田の間には、同じ目標に向かって互いの力を最大限に出し合う、プロ同士としてのパートナーシップがあった。

 

Wさんたちが作成されたコールリストが完成し、私たちが目標達成へのバトンを受けとりました。そして土日を含めた10日間(営業日のべ1週間)に集中して、フォローコールを行いました。結果は、以下の通りです。

◎コールリスト1204件に対して、のべ1426件のコールを実施

◎担当者に接触し、ヒヤリングできたのが483件

◎アポイント設定44件、設定率3.6%

ヒヤリング目標700件に対して483件と接触件数は少なかったものの、アポイント設定目標30件に対する44件は、達成率にして約1.5倍です。アポイント設定率も、目標の3%をクリアして3.6%を確保しました。結果的に、このアポイントから受注が1件決まり、年度内の受注見込み案件が2件、来期以降の受注見込み案件が26件、実質的に29件の商談が実現しています。アポイントの約7割が商談につながったことになります。 

A社は、牟田のチームが出した結果を高く評価した。もともと今回の商材『クラウド型・勤怠管理サービス』のプロジェクトチームは4名と少数精鋭だ。ビジネスイベントへの初めての出展、不可欠だが効果的な手法がイメージしにくい「来場者フォロー」など、課題が顕在化する中で、牟田との出会いがあった。先行して春に着手したアポイント代行案件で、しっかりと成果が出せたこと。また、さまざまなやりとりを通して相手に伝わった、牟田個人の人となり。こうした信頼感がベースとなり、互いの役割をしっかりと果たしながら、同じ目標に向かって取り組んだ結果の成果であった。

当初から担当のW氏は、「慣れないアポイント設定業務はプロにアウトソーシングし、自分たちは営業に注力したい」と考えていた。これは牟田が常日頃から仕事へのスタンスとしている、「お客さまと一緒に案件を育て、お客さまが安心して営業活動に専念できる環境づくり」という思いと一致する。牟田たちが担当するのは「アポイント代行業務」だが、めざしているのは「顧客が営業に専念できるためのサポート」なのだ。互いの思いの一致。業務に関するノウハウはもとより、今回の大きな成功要因として、胸襟を開き、思いや夢を語り合い、プロとして着実に結果を出すことで築いた信頼関係があったのは確かである。

大阪で11月に開催されたビジネスイベント出展に関しても、来場者フォローのオファーをいただいています。また新たな提案として、会期中にA社の皆さんがブース裏で行っていた「コールリストの作成(来場者情報のデータ化)」も、私たちで担当できますとお伝えしました。集まった名刺を精査して選択していただければ、あとは私たちにお任せ下さい、と。それによってA社の皆さんは、さらに営業活動に専念できます。「餅は餅屋」という言葉通り、プロとしての働きで私たちがお応えできる点に関しては、アウトソーシングを十分に活用していただきたい。

一番の目的は、競合商材がひしめく中で、しっかりとA社の『クラウド型・勤怠管理サービス』を市場に普及させることです。A社には、企業ブランド力の高さや、高機能なシステムを安価で利用できる優位性など、他社とは一線を画す魅力が数多くあります。それでもなお、課題解決に積極的に取り組むW様をはじめA社の皆さんの情熱に、私自身、大きな刺激をいただいています。
牟田とA社の担当チームとの関係性は、すでに「ともに商談をつくる」という段階にある。「もったいない」という牟田の思いが生んだ、迅速で的確な「イベント来場者フォロー」の実績。多くの出展企業においても新たなソリューションとして、今後の展開が注目されている。

株式会社 アソウ・ヒューマニーセンター
マーケティング事業部
営業プロデュース事業
牟田 昌弘 (むた まさひろ)

九州の総合人材ビジネスでの、営業アウトバウンド専任のアドバイザーとして、 リスト作成、テレアポ、インサイドセールス立ち上げ支援などの数多くのプロジェクトを担当。自身の営業経験に加え、演劇・舞台役者出身の経験も活かし、成約につなげる実践的なテレセールストークの構築を得意とする。また、新入社員・キャリア社員の研修として、テレセールスを通じたプログラムで企業の人材育成も手掛ける。